柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

米粒はタテ→ヨコに膨らんでいく

お米はどうやって実って(登熟して)いくのだろう。

まず、タネになる一番大切な「胚珠」は受粉後から作られ始め、25日くらい経つと胚芽が完成して、25〜30日以降はサイズがわずかに収縮する。そして、種皮や胚乳などの成長抑止力によって、発芽しない休眠状態に入ったまま収穫期を迎える。

同時に、胚乳も受粉後から作られ始め、玄米が成長していく。

お米はまず縦に伸びていき、それから幅が広くなっていき、最後に厚みが出ていく。ここまでで25日ほど。このとき、まだ玄米の果皮には葉緑素があるため、鮮やかな緑色をしている。いわゆる「青米(あおごめ)」と呼ばれる状態だ。玄米に混ざっているのを見かけたことがある人もいるだろう。

玄米は30日目ごろから熟していき、それにつれて水分が減少するため、胚芽同様にわずかにサイズが減る。そして、果皮の葉緑素もなくなって玄米の色になっていき、45日ごろに完熟期を迎える。早めに収穫(早刈り)したときに遅れて開花する籾が青米になっているというわけだ。

(※日数はいずれも品種によって異なる)

お米を作る水分や肥料分などは根から「道管(どうかん)」を通って吸い上げられている。加えて、葉で作られたでんぷんはいったんショ糖に分解され、水に溶けた状態で「篩管(しかん)」を通って籾の中に送られる。そして、ショ糖は籾の中で再びでんぷんに変換される。

お米の胚乳のほとんどはでんぷんなので、お米の登熟にとって光合成はとても大切だ。

そのため、イネの葉は、細長くてピンと立っていたり、互い違いに出ていたりするなど、上の葉が下の葉に日陰を作ってしまわないようになっている。

 

こうしたお米にまつわるアレコレを書いた拙著が5月19日に発売予定(「米粒はタテ→ヨコに膨らんでいく」については書いていません)。普段何気なく食べてきたお米の見方・考え方が変わるきっかけになれば嬉しいです。

「知れば知るほどおもしろい お米のはなし」(三笠書房 知的生き方文庫)

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