柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

一流の定食屋

近所の定食屋「若喜」のホスピタリティーがすごい。

 

私は苦手な食べものが多い。そして、夫はベジタリアン。夫婦で肉を食べられないし、夫は魚と卵を食べられない。乳製品については、夫は食べるけど、私は食べられない。

 

 そんなめんどくさい夫婦が定食屋で決まって注文するのは、夫が「焼きそばの肉抜きの大盛りと、ごはん」で、私は玉子丼。

 

この定食屋のおばちゃんがすごい。付け合わせの冷奴に乗っている鰹節を夫がよけているのを見たおばちゃんは、次回から冷奴に鰹節を乗せないようにしてくれた。焼きそばに付いてくるのは鶏ガラの中華スープだけど、夫が「みそ汁に変えてほしい」と一度だけお願いしたら、その後も何も言わなくてもみそ汁にしてくれている。もはや「肉抜き」と言わなくても肉抜きで作ってくれそうだ。「焼きそばの肉抜きの大盛りと、ごはん」という注文の仕方はするのは夫くらいなので、そのオーダーが入ると厨房では、「あ、来たな」と思うようだ。

 

私も玉子丼を初めて食べたときに、玉子でとじてあったナルトを残してしまった。すると、2回目以降、ナルトを抜いてくれていた。食べ終わった丼を見て苦手なものを記憶してくれているとは、なんという配慮だろう。

 

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玉子丼と「焼きそばの肉抜き」。この日は焼きそばが大盛りではなく、白ごはんが大盛り。

何度も一緒に食事をしているのに、「あれ、これは食べられなかったっけ?」と私の苦手な食べものをまったく覚えてくれない人もいる。とは言え、私とだけ食事をしているわけではないし、私の苦手な食べものなんて覚えている暇はないだろう。しかしながら、「え!肉食べられないの?!ええ〜!」と毎回びっくりされると、さすがにちょっと落ち込む。

 

でも、この食堂はたった一度、ナルトを残しただけで、ナルトを必ず抜いてくれる。今後も何度玉子丼を注文しても絶対にナルトは入らないと確信している。この安心感!

 

その定食屋へ結婚記念日のランチに行ったら店主の息子さんから「せっかくの結婚記念日にうちなんかにくるなよ」と言われ、大晦日のランチに行ったらそのお嫁さんから「せっかくの大晦日にうちでいいの?」と言われた。でも、私は一流の定食屋だと思っている。