柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

アツアツの定義

手がかじかむような寒さの中でヤケドするほどアツアツの甘酒を飲むのが好きだ。

 

過去に甘酒のおいしかった思い出を挙げると、どれも同じような状況で、甘酒を飲んでいる。

 

一番古い記憶は、長野県の祖父母の墓参りに行った時に「しなの鉄道」というローカル線の中で飲んだ甘酒。電車に乗り込んだ軽井沢駅が始発だったため、出発までずいぶん時間があった。まだ暖まっていない出発前の電車内。軽井沢駅で買ったアツアツの甘酒。寒そうな外の景色を眺めながらアツアツを飲む幸せは格別だった。

 

鎌倉八幡宮に行くといつも楽しみにしているのが、敷地内にある売店で売っている甘酒。甘酒は夏の飲み物とも聞くけど、夏はあまり飲む気にならない。やはり、鼻先が冷たくなるほど寒い冬にアツアツを飲むのがたまらなくおいしい。

 

箱根旧街道にある甘酒茶屋は店内に入るといろりの燻した香りと煙が店内に充満している。箱根の山は寒い。ここの甘酒は発泡スチロール素材のコップではなく、湯のみで出てくる。アツアツを冷ましてから飲むのではなく、アツアツのうちにちょっとずつちょっとずつ飲むのがおいしい。冷たい手で湯のみをくるむようにして持ち、手のひらもじんわりと温まってゆく。

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甘酒茶屋のアツアツ甘酒

 甘酒は米と米麹だけの甘酒がいい。買うときは必ず酒粕と砂糖の甘酒じゃないかどうか確かめてから買う。しかし、米と米麹の甘酒だったとしても、買った甘酒がぬるいと、とてもがっかりする。それだけでおいしさは半減どころか3分の1に減る。買わなければ良かったなあとさえ思う。買うときに「この甘酒はアツアツですか?」と聞きたいけど、「アツアツ」と感じる温度は人によって違いそうで聞けない。

 

蕎麦屋でかけそばがぬるいとき、定食屋でみそ汁がぬるいときも同じことを思う。でも、「ぬるいので代えてください」とは言えず、しぶしぶ食べる。オーダーした料理が味の問題以前に、温度の問題でおいしくないときはどうしているのか、みんなに聞いてみたい。

 

スターバックスでは「エクストラホットで」とオーダーすると、通常よりもアツアツのコーヒーが出てくるそうだ。でも、スタバのホームページを見ても、エクストラホットが何度なのか書いていない。ネットでは「エクストラホットにしたのに熱くなかった」と書いている人もいた。人によってアツアツの基準が違うので難しい。

 

一体わたしは何度以上だとアツアツと感じて、何度以下だとザンネンだと感じるのだろうか。アツアツポイントを知るために、しばらくのあいだ、自宅で炊飯実験に使っている放射温度計を持ち歩くことにした。さまざまな料理や飲みものにこっそりレーザービームしようと思っている。