柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

ごはんをもうちょっと食べるには

モチあり正月」で、夫が昼と夜に餅を12個食べたと書いたけど、この時は家に餅がこれしかなかったから12個しか食べられなかっただけで、餅をついたときは夫は1食で1升は食べている。

 

この「12個」に対して、「そんなに食べるの?」と言う人と、「それしか食べないの?」と言う人がいておもしろかった。素敵なマダムの友人は「私が若い頃は1食で20個くらぺろりと食べていたわよ!」と言っていた。

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1升は夫のお腹に消える

それにしても、茶碗によそったごはんやおこわに比べて、餅やおむすびだとたくさん食べられる人は多いように思う。特に、ごはんは少ししか食べない人が、おむすびだと意外と食べている。

 

栄養士の幕内秀夫さんが油脂と砂糖の影響について「焼き芋はあまり食べられなくても、砂糖が入った芋ようかんはもうちょっと食べられる。さらに、バターと砂糖が入ったスイートポテトはもうちょっと食べられる。さらに、揚げて砂糖をまぶしたさつま芋チップはもうちょっと食べられる」と説明していた。たしかに、油を使う炒飯やカレーライス、砂糖を使う鮨シャリなどは、白ごはんよりももうちょっとお腹に入りやすいのだろう。

 

しかし、ごはんやおこわだとあまり食べられない人が、餅やおむすびになるともうちょっと食べられるのはなぜだろう。

 

周りを見て感じたのは、大盛りごはん1杯と小さめのおむすび3個だと、ボリュームの感じ方が違うらしい。前者だと見た目でお腹がいっぱいになるそうだ。先日、宮城県栗原市で「えび餅」や「ずんだ餅」などさまざまな種類の餅をちょっとずついただいていたら、いつのまにかいつもの倍は食べていた。人間は目でも食べている。

 

一方で、「餅は1個でごはん1杯分」という情報を得たために餅をあまり食べようとしない人もいる。人間は脳でも食べている。

 

もちろんごはんのおいしさはとても重要だけど、ごはんの消費アップのためには、きっとそれだけではない。われわれはさまざまな部分でごはんを食べている。