柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

2018-01-01から1年間の記事一覧

お米の賞味期限を探る!ビンテージ米を食べ比べてみた

■日本米の表記は「精米年月日」だけ 日本では、お米は冷蔵庫で保管する“生鮮食品”。お米農家の倉庫でも、お米屋の倉庫でも、15度以下の低温保管が基本です。お米屋の店頭で売られているお米も、暖房がついた冬場の店内や、冷房を切った夜間の店内にお米を置…

「口中調味」ってなんだ

台湾に駅弁を食べに行ったら、日本のような幕の内弁当スタイルがないことに気づいた。ごはんとおかずが分かれていない。どの弁当もごはんの上におかずがぶっかけてある。 東南アジアに行っても、白ごはんの上におかずをぶっかけて食べているスタイルがほとん…

ライス・イズ・ダイバーシティー

巨大胚芽の玄米食専用米「カミアカリ」を育種した静岡県藤枝市の米農家・松下明弘さんに会いに行ってきた。 松下さんの米は、香りも味も複雑だ。「にこまる」は、旨み?苦み?いや、旨み?というような旨み。そして、納豆をものすごく薄めたような良い香り。…

うまいパエリアの秘密はお米の白い部分にあり? 3品種を食べ比べてみた

「スペインで『パエリア』米を探る!お米ライターが自腹レポート」 で紹介したパエリアは、「パエリア米」とひとくちに言っても、その品種はさまざまでした。そして、スペイン人たちの好みもさまざま。スペインで聞いた「ボンバ」「センダラ」「アルブフェラ…

お米の魅力は文化とセットで

駅弁は日本独自の文化だと思っていたら、なんと台湾にも駅弁があるそうだ。どんな弁当か気になり、昨年秋に台北へ食べに行ってきた。 日本の駅弁と違うのは、弁当を温かいうちに食べること。台湾人は、ごはんが冷たいとひもじく感じるそうだ。冷めた弁当やお…

田んぼで完成するブレンド米

一般的にブレンド米は、収穫してから2品種以上のお米を混ぜたもの。一方で、田植えの時から多品種を混ぜて育てているお米もある。 東京・吉祥寺の「金井米穀店」では、ユニークな“ブレンド米”の栽培を栃木県・塩谷町の「杉山ファーム」にお願いしている。な…

お米にも入浴の効能? 種もみの“温泉消毒”

福島県・猪苗代町の「中ノ沢温泉」では、お米の種まき前に種もみを温泉に“入浴”させています。これを発案・生産し、「中ノ沢温泉米」として販売しているのは地元の米農家・土屋直史(つちや・なおし)さん。季節は、まだ雪が溶けきっていない花冷えの頃。湯…

お米もダイバーシティーの時代

今年(2018年)2月に発表された日本穀物検定協会の「米の食味ランキング」で、ブランド米の先駆けである新潟県・魚沼産コシヒカリの評価が「特A」から「A」に落ちた。 このニュースに「魚沼コシヒカリって味が落ちたのね」という感想を抱いた消費者は多かっ…

カレーに合うお米たち

数年前、カレーに適したお米を探して「華麗米」「ホシユタカ」「プリンセスサリー」「サリークイーン」を集めて食べ比べた。どれも日本で作られたお米だ。 華麗米は表面の粘りが少なくもちっとしていて、日本のカレーに合う。他の3種は長細くて粘りが少ない…

ブレンド米を“遊ぶ”

「ブレンド米」というと、多くの人が高値のお米に安いお米を混ぜた“偽装米”を連想しがち。一方で、同じブレンドでもブレンドコーヒーや合わせ味噌は定番商品。ワインだって異なるぶどうの品種を掛け合わせたものがあり、ウイスキーだって異なる原料を掛け合…

お米はいつまでおいしい?

管理を徹底すれば、お米は(米の品質によっては)新米のときよりもおいしくなる。では、おいしく食べられるのは収穫からどのくらいまでの期間だろうか。 昨年夏、お米の経年変化も調べている研究熱心な農家から3年分のお米を取り寄せて検証した。自然栽培「…

「新米はおいしい」は本当?

日本人は新米好き。新米の時期になると、スーパーや米屋に「新米」ののぼり旗が現れ、テレビや雑誌などでは「新米特集」が組まれる。普段よりもちょっと高い米を買い、一口目はお米だけを楽しむ…という人は多い。新米にキムチをどかっと乗せて食べた知人は周…

スペイン米は「パエリア」だけじゃない!お米ライターが自腹レポート

スペインといえば、パエリア。ということで「スペインで“パエリア米”を探る!お米ライターが自腹レポート」の【前編】と【後編】では、パエリア発祥の地と言われスペイン米の一大産地でもあるバレンシアへ向かい、「ボンバ」をはじめとしたさまざまな品種に…

スペインで“パエリア米”を探る!お米ライターが自腹レポート【後編】

スペインといえば、パエリア。パエリアといえば「ボンバ」という品種のお米が有名です。でも、日本のお米といえばコシヒカリだけではないように、スペインでもきっとボンバ以外のお米もあるはず。実際にスペインの庶民の食卓ではどんなお米が使われているの…

スペインで“パエリア米”を探る!お米ライターが自腹レポート【前編】

スペインといえば、パエリア。パエリアといえば「ボンバ」という品種のお米が有名です。でも、日本のお米といえばコシヒカリだけではないように、スペインでもきっとボンバ以外のお米もあるはず。実際にスペインの庶民の食卓ではどんなお米が使われているの…

家訓「ごぼうは作らんにぃ」

嫁ぎ先の「つちや農園」はお米がメインの農家で、夏から秋にかけては色とりどりの「カラー」という花も生産・出荷している。野菜は、ほんの少しだけ飲食店に卸したりするけど、ほぼ自家消費。お父ちゃん(義父)が「家庭菜園」と呼ぶには立派すぎるビニール…

粘るコシヒカリでもパラパラ炒飯はできる

ベトナムで食べた長粒種の炒飯はパラパラでおいしかった。日本のお米だとここまでパラパラ炒飯は作れないだろうなあと思っていたら、あった。コシヒカリのパラパラ炒飯。東京・広尾にある中華料理店「春秋」。卵とネギだけのシンプルな炒飯は、お米がパラパ…

ひょろりと長い「つや姫」の魅力

ある米屋の店主から「寿司用ブレンド米に『つや姫』を混ぜにくい」と聞いた。理由を聞くと、1993年の大冷害時に出回ったジャポニカ米とインディカ米のブレンドに対する悪いイメージがあると言う。 つや姫は炊くとひょろりと長くなる。不思議なお米だなあ…

“しっとり海苔”がおいしいおむすびのかたち

おむすびの海苔は「パリパリ派」と「しっとり派」に分かれる。わたし自分で作る場合はどちらかというと「パリパリ派」だったけど、それはいつも食べるおむすびの形が三角だったからだと最近になって気づいた。 なんと、おむすびの形を丸っこく作ると、たちま…

おいしく「酒米を食べる」

酒米は酒造に適しているだけではない。なんと、スペイン料理のパエリアでもその特性を発揮している。 酒米はでんぷん粒が粗く隙間が多い心白があるため、麹菌が繁殖しやすく良質の麹ができやすい。その特徴がパエリアに合うのではと考えたのが、東京・清澄白…

業務用米もおもしろい

おいしいけど業務用米として使われることが多い品種。その代表として山形県産「はえぬき」がある。最近、この米のポテンシャルを活かした飲食店に出会う機会が増えた。 東京・銀座の「アロセリアラパンサ」はスペインの米料理専門店。パエリアなどに山形県産…

亀治もびっくり「亀の尾」リゾット

新品種が続々と出てくる。もはや覚えられないほどだ。一方で、いわゆる“昔品種”にも注目が集まり始めている。 最近ではお酒に使われていることが多い「亀の尾」は1893年に誕生した品種で、コシヒカリやササニシキなど良食味と言われるお米のルーツ。多肥…

お米の好み 多様化の兆し?

11月、山形県の庄内町で開かれた「第11回あなたが選ぶ日本一おいしい米コンテスト」に決勝一般審査員として参加した。 1日に46種類ものお米を食べられる…なんという幸せ。白いごはんだけ食べ続けると、しょっぱいものが欲しくなるけど、味覚が変わっ…

日本米でも海外のお米料理はおいしくなる【後編】

パエリアの本場・スペインではボンバ米(バレンシア米)、リゾットの本場・イタリアではカルナローリ米など、それぞれ地場のお米が使われています。こうした料理に日本米、しかも、あえてパエリア向けやリゾット向けや炒飯向けに開発されたわけではない日本…

日本米でも海外のお米料理はおいしくなる【前編】

パエリアの本場・スペインではボンバ米(バレンシア米)、リゾットの本場・イタリアではカルナローリ米など、それぞれ地場のお米が使われています。こうした料理に日本米、しかも、あえてパエリア向けやリゾット向けに開発されたわけではない日本米でもおい…

リゾットには古米が合う?お米ライターが食べ比べてみた

「新米はおいしい」って本当?【前編】と「新米はおいしい」って本当?【後編】で紹介したように、古米には古米の魅力があります。鮨屋のシャリに古米が重宝されていることは知られるようになりましたが、実はリゾットにも古米が合うのです。リゾットの本場…

鯖の棒鮨×マデイラ酒の衝撃

お酒を飲むと、しめにごはんを食べる人もいるけど、多くの場合はお酒と料理だけでお腹がいっぱいになり、ごはんを食べない人もいる。 もしかしたら、お酒がお米の消費を下げているんだろうか? とは言え、お酒を飲むのはやめようなんて言えないし言いたくな…

「新米はおいしい」は本当?【後編】

新米が必ずしもおいしいわけではなく、年が明けたこれからが「お米に味が乗ってくる」時期。お米のプロフェッショナルたちからそう教えてもらいました。ということは、お米は収穫後に熟成しているのでしょうか。そして、お米はいつ頃までがおいしい期間なの…

「新米はおいしい」は本当?【前編】

新米の時期は「新米だからおいしいよ」という売り文句も聞かれます。しかし、年が明けて「新米」の季節が過ぎました。「新米」と呼ばれる期間は、現在の米業界では収穫された年内が一般的。そのため、店頭では1月になると「新米」シールが貼られた米袋は見か…

日本の油條は仙台名物の…

おむすびはごはんでできている。決してパンではない。 「当たり前のことじゃないか」と思われるかもしれないけど、台北で食べたおむすびにはパンが入っていた。奇をてらったメニューなどではなく、ローカルフードとして当たり前に根付いているおむすびだ。 …