柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

お米と日本酒は似ている・その1

「『精米したて』は本当においしい?」でも書いたが、お米は精米当日よりも、精米から5日くらい経ってからのほうがおいしいと思っている。 最近は日本酒でも、同様に開栓当日よりも、数日経ってからのほうがおいしいと思えるものにいくつも出会い、日本酒の…

夏休みにおばあちゃんちで食べた朝ごはん

ごはんがおいしかった記憶を遡っていくと、小学生の頃の夏休みに信州の母の実家で食べた朝食を思い出す。 当時住んでいた関東の家に比べて朝は涼しく、網戸からは気持ちのいい風が入ってきた。祖母が用意してくれた子ども用の小さな平たい茶碗によそられた炊…

シャケとマシュ

焼き鮭が好きなのでスーパーでいつも塩鮭を買おうとするが、どれも原材料に酸化防止剤とかpH調整剤など、鮭と塩以外のものが使われている塩鮭ばかりなので買わずに店を出る。塩鮭は酸化防止剤やpH調整剤がないと成り立たないものなのだろうかと絶望していた…

おいしいごはんのおとも・その2

都内に住んでいたとき、有楽町駅前の交通会館に通い詰めたことがあった。目当ては北海道のアンテナショップ「どさんこプラザ」に売っていた山わさび(ホースラディッシュ)。すりおろして白飯にのせて醤油をひとたらしするだけであっという間にごはんがなく…

米言葉

近所の花屋でスカビオサという花を買った。 小さい花瓶の場合は、花を下に、つぼみを上にして活けるといいと教えてもらったので、その通りにしたら可愛くなった。 お米も「このお米は浸漬時間少し長めで」とか、「こってりおかずよりもあっさり和食が合う」…

お米との相性

誰かが「このお米おいしいよ」と言っても、そのお米は必ずしも他の誰もが「おいしい」とは思わないかもしれない。誰かがが「このお米おいしくない」と言っても、そのお米は必ずしも他の誰もが「おいしくない」と思わないかもしれない。 粘りが少なくすっきり…

おいしいごはんのおとも・その1

ちりめん山椒が好きなのだけど、なかなか無添加で甘すぎずおいしいものが見つからない。 そして昨年ようやく出会えたのが京都下鴨「すぐり」のちりめん山椒。 原材料は、四国・九州産のちりめんじゃこ、和歌山県産の実山椒、みりん、酒、醤油。砂糖不使用で…

バスマティライスを食べ比べてみた・追記

「バスマティライスを食べ比べてみた・その1」と「バスマティライスを食べ比べてみた・その2」で計8種類のバスマティライスを食べた。ただ、袋に精米年月日の記載がなかったので販売元に問い合わせてみると、それぞれバラバラだった。 ◎その1で食べたバスマ…

お米パンはお米の消費拡大に逆行する

以前に「米粉パンに思うこと」でも書いたが、米粉パンや生米パンなど、お米を原料にしたお米パンは、お米の消費拡大には繋がらないと常々思っている。 お米が原料とは言え、お米パンはパンだ。つまり、おかずはごはんでなくパンに合うおかずになる。たとえば…

お米の粘りと油の関係性

先日バスマティライスの食べ比べ後、夫と2歳の娘と一緒にバスマティライスでランチをした。 おかずに豆カレーと野菜カレーを作ったのだけど、豆カレーのほうは小さな娘も食べられるように油を少量に抑えてチリパウダーを使わなかった。 すると、バスマティラ…

バスマティライスを食べ比べてみた・その2

「バスマティライスを食べ比べてみた・その1」に続いて、さらに4種類のバスマティライスを食べ比べてみた。炊飯方法は前回と同じ。 今回のラインナップは以下の4種類。 ◆DAAWAT(EVERYDAY GOLD)インド ◆DAAWAT(CLASSIC XXGRAIN)インド ◆GUARD(NATURE'S F…

バスマティライスを食べ比べてみた・その1

インドとパキスタンで栽培されているヒョロリと長いバスマティライスを食べ比べてみた。 ラインナップは以下4種類。 ◆LALQILLA(NATURE'S FINEST)インド◆Kohioor(Extra Flavor)インド◆Mehran(カーネル米)パキスタン◆Maharani(Extra long Grain・セーラ…

「ごはんのおとも」の定義

新米の時期になると増える「ごはんのおとも」特集。見ると、オイリーだったり濃厚だったりとヘビーな商品も多い。 それはそれで良いのだけど、「ごはんのおとも」と言えるのかどうか、疑問がわく。 「ごはんのおとも」はあくまで「おとも」。イヌやキジが桃…

「精米したて」は本当においしい?

蕎麦は「さんたて」、つまり、「挽きたて、打ちたて、茹でたて」が良いと言われている。 しかし、お米も「精米したて、炊きたて」が良いのかと言えば、そうでもない。 「炊きたて」のおいしさもあるけど、冷めてからもおいしいごはんは本当においしいごはん…

「新米」が終わると「旬米」の季節

秋になるとそこかしこで「新米」の文字を目にする。しかし、それも12月31日まで。年が明けると「新米」はただの「米」になる。 新米じゃないならおいしくないのねなどと思われがちだけど、実は新米じゃなくなってから味がのってくる。もちろん米質や保存方法…

金継ぎと久野恵一さん

器や皿が好きで大事にしているつもりなのに、注意力が足りないのか1年に何枚も欠いたり割ったりしている。 今も金継ぎ待ちの器や皿が数枚あるけど、金継ぎされた器や皿がより美しくなって帰ってくるので多少の欠けならば落ち込まなくなった。以前に、民藝の…

アルデンテの長粒米

先日あるイベントにてベンガル料理のポラオを食べた。バスマティライスが使われていたので、ふうわり軽い食べ心地を想像して口に入れ咀嚼すると、なんとアルデンテ。長粒米をアルデンテに仕上げた料理は初めてだったので驚いた。 数年前にスペインへお米取材…

お米を追うほどに

娘の授乳が終わり日本酒が飲めるようになったので晩酌という毎日の楽しみができた。 これまで飲めない期間につい買ってしまい冷蔵庫に眠らせていた日本酒を少しずつ飲んでいる。 以前から食べたお米を記録していたInstagramに日本酒もたまに記録するようにな…

「農薬・化学肥料=おいしくない」ではない

有機栽培や無農薬栽培などは、イコールおいしい、と思われがちだけど必ずしもそうではない。 もちろん、環境には良いことは多いけど、同じ生産者の同じ品種でも、有機栽培よりも減減特栽(減化学肥料・減農薬の特別栽培)のほうがおいしい場合もある。 以前…

お米まわりのイチオシ・その1

数年前に東京・高円寺の暮らしの道具店「cotogoto」で購入した「公長斎小菅」の「竹重箱」がお米料理にめちゃくちゃ重宝している。 外出時には家族のおむすびを入れたりいなり寿司を入れたり。ハレの日にはちらし寿司を入れたり赤飯を入れたり。ハレの日以外…

ハレの日はごはんケーキ

夫はスイーツが大好きだが、私は苦手。そして、2歳の娘は小麦アレルギー。されどクリスマスにはみんなで切り分けて楽しむ食べ物が欲しい。 というわけで、ごはんでケーキを作った。娘の1歳の誕生日や雛祭りなどごはんケーキはたびたび我が家の食卓に登場して…

茶碗とごはんの相性

2歳の娘は茶碗を2つ持っているが、2つともすでに割れて金継ぎしてある。そのうちの1つは出産祝いでいただいた佐賀県伊万里市の青山窯の水色の磁器で、ごはんを食べ終わるとクマがあらわれる。娘はこの茶碗を気に入っていて、クマ見たさにごはんを食べてくれ…

伸びるお米

秋田県から2022年にデビューする新品種「サキホコレ」を先行販売で購入できたので炊いてみた。 すると、なんだか米粒が長い。つや姫も炊くと長く伸びるので、サキホコレも同じような特性があるのかもしれない。 しかし、米粒をよく見ると、長く伸びているも…

〝遺卵〟の味

Sさんから亡くなったご友人の香典返しでもらったという100個の卵のおすそわけが義実家に届き、そのおすそわけとして12個の卵がわが家に来た。この卵がとてもおいしい。白身がぷりぷり。目玉焼きにすると白身がもりもり膨らむ。 しかし、生産者の方はもういな…

利き米には禅椀

会津漆器ブランド「めぐる」の禅椀に一目惚れ。漆器でごはんを食べるおいしさにも開眼した。茶道具の棗のような形状なのできっと白ごはんの香りが感じられやすいに違いないと思ったら本当にその通りだった。平茶碗では感じづらかったわずかな香りが分かりや…

銀杏のにおい

なんかくさいと思い、しかしその発信元が銀杏であるとわかると、ただくさいというよりも秋の匂いだなあと思うようになる。この法則、納豆にもあてはまる。においのもとが納豆とわかった瞬間に、くさい、から、食べたい、に変わる。 洗って干した銀杏の実のほ…

いくらごはんと口中調味

2歳の娘は食べられるものが極端に少ないが、最近いくらが大好きになった。 私がいくらを食べる時はごはんの上にいくらをのせて、ごはんといくらを同時に口に入れる。そして、塩味をごはんが受け止めきれない場合は、さらにひとくちごはんだけをたべる。 しか…

「お米の洗い方・研ぎ方」考

「 近年は精米技術が発達したのでお米を研ぐ必要はなく洗うだけでO K」と言われているが、本当にそうなのかなあと考えている。 私も以前はさっとすすぐ程度だった。しかし、 うっすらと古米臭があるお米を研いでみると臭いがとれておいしく 食べられたことが…

「ごはんのおとも」と「ごはんのおかず」

東京・高円寺にある暮らしの道具店「cotogoto」でお米ライターカシワギおすすめのごはんのおともを「新米とうつわ展」(2021年10月15日〜2021年10月31日)の期間限定で販売してもらえることになった。 12種類をご提案したうち、販売可能となったのは7種類。1…

ごはんと恐怖心

知り合いの高齢男性が「メディアの刷り込みでごはんを食べることに罪悪感を覚えるようになってしまった」と言っていた。 私の友人にも「ごはんが食べることがこわくなってしまった」という女性がいる。罪悪感どころか恐怖心だ。「でも本当は食べたい。白米を…